精神疾患の背後にある否定的な潜在意識とヒーリング

 精神疾患は、うつ状態になって黙り込んだりマイナス思考に落ちいったり、そう状態になって陽気にはしゃぎすぎたり支離滅裂になったりとさまざまな症状を示します。その多くは、いまだその原因を突き止められていません。しかも、それぞれの精神疾患には多様な症状があるので、一律にその原因を指摘することもできません。ここでは、今までの宗教並びに精神医学、臨床医学スピリチュアリズム(心霊科学)の研究成果を踏まえて克服する道を探ってみたいと思います(ひと言、私は医師ではないことをお断りしておきます)。

 精神疾患を考えるとき、どんなに健全な人でも精神疾患を起こすということをまず心得ておくことが重要です。臨済禅の中興の祖である白隠禅師も、修行中禅病(瞑想をしていると頭痛がしたり、神経過敏になったりと体調が悪くなる)といわれるうつ病になり、内観法によって克服したといわれています(本人がメモに残しています)。

 

 (1) 潜在記憶とヒーリング

  精神疾患の症状の背後には、患者の潜在記憶が大きな影響を与えているということが分かってきています。鈴木重裕氏の論文から取り上げてみます。

  最近の多くのエピジェネティックスなDNA研究によると、潜在記憶が人間の言動や行動に多大の影響を与えている、ということが明らかになってきた(Tonegawa, 1987; Reik & Walter, 2001; Surani, 2001)。うつ病統合失調症、双極性感情障害を始めとする多くの精神疾患の発症にエピジェネティックスな DNA の変化が指摘されてきている (Kato, 2009; Gregory et.al, 2009)。つまり、先祖から伝わる後天的な心理的要素(ストレスや情動)などの膨大な量の否定的な「潜在記憶」が、DNA を通じて私たちの潜在意識の中に存在しており、その影響は確実に世代を越えて受け継がれているのである (Suzuki, 2009)。この否定的な潜在記憶が生活習慣や対人関係などを含む環境的側面や、性格、気質、体質などの遺伝的素因も関与して人間の否定的な言動や行動を引き起こし、人間に備えられた崇高な価値を見失わせる要因になっているのである。

 あらゆる病気を根源的な観点から医学的に解決するためには、この「否定的な潜在記憶」を解放し消去することが重要であり、その治療的プロセスはヒーリング(癒 し)によってなされることがわかっている。

 ヒーリング(癒し)はどのようにして起こるのであろうか?ヒーリングには「マグネティック・ヒーリング(生体磁気治療:手かざし療法)」と「スピリッチュアル・ヒーリング(祈りによるヒーリング)」の二つがある。ヒーリング・エネルギーの観点から 言えば、前者の作用は肉身の肉体/エーテルレベルの調整に関わっている傾向があり、 治療はヒーラーが患者に手を接近させる形で行われる (Krieger, 1979; Burke, 1980)。 それに対して後者は、肉身の肉体/エーテルレベルで作用するだけではなく、霊人体のアストラルレベル、メンタルレベル、そしてさらに高次のコーザルレベルの機能障害をも調整する。その上、「スピリッチュアル・ヒーリング」は患者がそばにいなくても可 能であり、ヒーラーと患者の間に膨大な距離の隔たりがあっても可能である。

 「スピリッチュアル・ヒーリング」は病気の根治的な治療を目指しており、微細な身体やチャクラのような高次エネルギーレベルに働きかけることを目標としている。スピリッチュアル・ヒーラーは様々な周波数に対応できる電源のように、同時に数段階のレベルのエネルギーを患者に注入する。言い換えると、ほとんどのマグネティック・ヒーラーが物質的身体的レベルのみの治療を行っているのに対し、スピリッチュアル・ヒーラーは心と霊の多数のレベルにも同様に働きかけているのである (Wallace & Henkin, 1978)

 祈りによるヒーリングの治療的効果を最大限に引き出すためには何が必要なのだろうか?それを解決するためのヒントは、潜在意識、脳、顕在意識の繋がりにある。つまり、狭義の祈りとしての顕在意識が、習慣と情動によって、「祈りに満ちた心」としての潜在意識にスムーズに刻み込まれるかどうかが鍵なのである。すなわち、潜在意識、脳、顕在意識が一体化すれば、「祈り(狭義)」と「祈りに満ちた心」が相補的関係になり、共鳴し合い、西洋と東洋の心情が和合・統一された「真の祈り」による「真のヒーリング」が実現されるであろう。

* “統一医学のグローバルな展開” ~治療的ヒーリングの観点から

高知大学医学部臨床教授 医療法人社団真愛会 札幌ファミリークリニック 理事長 鈴木重裕

http://www.utitokyo.sakura.ne.jp/uti-index-gaiyou01-symposium01-schedule01-jk-professor-07-suzuki-shigehiro01.pdf

 

(2)現代の脳科学研究の状況と治療

  現代の脳科学の研究と精神疾患に対する治療にはさまざまな方法が試みられています。一例として認知症に対する治療を見てみると、次のような治療がなされています。① 回想法

本人の楽しかった記憶を呼び起こしながら、心の安定を図る方法。

具体的には、楽しかった思い出の写真やビデオを見せて思い出を思い起こし語ってもらう。話すことで気分が高まり、穏やかな気持ちになるという。

② 作業療法

家庭内で役割を作ることによって体と精神の両方から脳を刺激する。家族のためになることは、大きな満足につながる。

③ 美術療法

絵画や折り紙を作る療法です。五感を刺激することによって脳を刺激します。手先を動かすことはとても重要です。判断力や理解力を向上させます。

④ 音楽療法

音楽に合わせて手をたたいたり歌ったりすることで、脳を活性化することができます。特に、太鼓は心臓の音とリンクするので、身体機能、脳の活性化に役立つとされています。

⑤ 園芸療法

観葉植物などを育てることです。また、動物と触れ合うこともこの中に入ります。毎日育っていくものを観察し触れ合うことで、心が楽しくなります。

⑥ 体操

軽い体操をすることによって、心身をリラックスさせます。

⑦ アロマ療法

アロマによる鎮静作用で、不安やストレス、緊張などで疲れた心を癒し、リラックスすることができます。

 こうした臨床療法は、体や心をリラックスさせることによって、脳の活動を活性化させようとするものです。①の回想法は、過去の楽しい体験を呼び起こすことで、正常な心の状態を取り戻そうとするものです。こうした治療方法が効果をもたらすものであることは、経験的にわかっています。

 また、脳の活動が鈍っている所に電極を埋めたりして電気的刺激を与えて、その部分の脳の活動を活発化させて症状を改善させようとする試みもなされています。(パーキンソン病の治療では行われているようです)。

 こうした臨床治療やマグネティックな生体治療は、全面的ではないとしても効果のある治療法であることは確かです。

 理化学研究所利根川進センター長を中心とする研究チームは、マウス実験によって、うつ状態を示すマウスに楽しかった過去の記憶を人工的に思い出させることによってうつ状態が改善されるという研究結果を発表しています。 http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150618_1/

【光遺伝学によってマウスのうつ状態を改善ー楽しかった記憶を光で活性化―(2015年6月18日理化学研究所)】

 理化学研究所理研脳科学総合研究センター 理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長、スティーブ・ラミレス大学院生らの研究チームは、光遺伝学(1)を利用してうつ様行動を示すマウスの海馬の神経細胞の活動を操作して、過去の楽しい記憶を活性化することで、うつ様行動を改善させることに成功している。

(1)光遺伝学:光感受性タンパク質を、遺伝学を用いて特定の神経細胞群に発現させ、その神経細胞群に局所的に光を当てて活性化させたり、抑制したりする技術。

 研究チームは、オスのマウスにメスのマウスと一緒に過ごすという楽しい体験をさせ、その時に活動した海馬の歯状回の神経細胞を遺伝学的手法により標識しました。この技術を用いると、楽しい体験で活性化された海馬歯状回の神経細胞でだけ、チャネルロドプシン2(ChR2)と呼ばれる、光をあてると神経活動を活性化させることができる特殊なタンパク質が作られます。

 次に、そのオスのマウスに体を固定する慢性ストレスを与えて、「嫌な刺激を回避する行動が減る」「本来なら好む甘い砂糖水を好まなくなる」といったうつ様行動が、実際に引き起こされることを確認しました。驚いたことに、この「うつ状態」のマウスにおいて、楽しい体験の記憶として標識された海馬歯状回の神経細胞群に光をあてて人工的に活性化したところ、「嫌な刺激を回避する行動が再び見られる」「砂糖水を再び好むようになる」といったうつ状態の改善がみられました。

 さらに調べると、このうつ状態の改善は、海馬歯状回から扁桃体基底外側部を通り、側坐核の外側の殻であるシェルと呼ばれる領域へとつながる回路の活動によるものであることがわかりました。扁桃体は「恐怖」「喜び」といった情動の記憶に関わる領域であり、側坐核はやる気や意欲、さらに報酬をもらった時に感じる喜びなどと関連する領域だと考えられています。したがって、この結果はメスのマウスと一緒にいるという楽しい体験の最中に実際に感じた喜びの記憶や感覚などが細部まで呼び覚まされて、症状の改善につながっていることを示唆しています。

 研究は、楽しい体験の際に活動した神経細胞群を活性化し、楽しい記憶を人工的に思いださせることで、うつ状態が改善することを初めて示しました。

 

 (3)遺伝的障害による精神疾患

 すべての精神疾患が臨床治療、マグネティックな生体治療で治るとは限りません。ASD(自閉症スペクトラムアスペルガー症候群)と呼ばれる精神疾患群は、遺伝に基づく先天的な疾患であると考えられています。ウェンデイ・チャンが、TEDで2014年(「自閉症―分かっていることと、まだ分かっていないこと)で語った講演の内容を伝えます。

【すべてのASD自閉症スペクトラムアスペルガー症候群)について】

 自閉症は、先天的な脳の機能障害であるとされています。自閉症を引き起こす遺伝子は、200から400あると考えられています。これらの遺伝子は、無作為に存在しているのではなく、実際には結びついて回路が形成されています。治療法はないとされています。遺伝子が1つの要因であることを理解する方法の1つは、一致率と呼ばれるものを見てみることです。一致率を見た時に印象的な点の1つは、一卵性双生児では一致率が77%であることです。非常に顕著ではありますが、100%ではないのです。 遺伝子は、自閉症となるリスクの全てではないもののその大部分を説明できます。なぜなら二卵性双生児の場合だと 一致率はたった31%になるからです。

 ASDには、周辺症状への緩和の薬はあるものの、まだ根源的な部分を解消する薬はまだ開発されていません。脳内神経物質として働くオキシトシンを投与して改善を図る試みがなされているが、効果は未知数。(オキシトシンが分泌されると、幸福感をもたらす。)(ウェンデイ・チャンat TED 2014「自閉症―分かっていることと、まだ分かっていないこと」)

 

 ASDと呼ばれる精神疾患には遺伝子が一つの要因として作用していることが明らかなのですが、遺伝子と疾患がどのような関係性をもって回路を形成しているのかはわかっていません。また、それぞれの遺伝子の働きもよくわかっていません。遺伝子の変異がどうして起きたのかもわかっていませんし、遺伝子を元の状態に修復することがいいのかどうかもわかりません。ひょっとすると、変異している遺伝子は、霊的感性に関与している可能性もあるとも考えられるのです。

 

 (4)スピリチュアル・ヒーリング

  遺伝子が生命の根源であり、生命のすべてを決定しているという唯物論の立場に立つならば、スピリチュアル・ヒーリングはまったく意味がありません。その場合、遺伝子を修復することですべては解決されるはずです。しかし、多くの人は肉体を超えた霊の世界が存在することをうすうす感じています。そうでなければ、先祖供養などはまったく無用のものとなるでしょう。

 スピリチュアル・ヒーリングが有効であるか否かを理解するためには、人間の人体構造についての理解が欠かせません。

 スピリチュアリズム(心霊科学)では、人体は霊体(霊人体)、霊の心、肉体、肉の心(本能)によって構成されているとされています。そして、それぞれの間をエネルギーが行き来しています。宗教的力(エネルギー)というものは、霊の心あるいは霊体から肉体にもたらされているものです。その力(エネルギー)の存在を前提にすると、スピリチュアル・ヒーリングは極めて有効なものであることになります。

 ただ、この仕組みの中で、遺伝子がどのような役割をはたしているかは全く分かっていません。今後の研究にゆだねる問題です。

 次に、スピリチュアル・ヒーリングによる精神疾患治療についてまとめてみます。スピリチュアル・ヒーリングとは、肉体に触れずにオーラによって癒したり遠隔によって直すものであります。祈りのエネルギーと呼べば分かりやすいのではないでしょうか。

 スピリチュアル・ヒーリングでは必ず霊、精神(霊の心)、霊の体、肉体のいずれかの領域でプラスの影響力がもたらされ、活性化されます。その意味では、治癒率は100%ですが、肉体の治癒に至るまでにはまず先に霊レベル、精神レベル、霊体レベルの癒しが実現していないといけません。

 スピリチュアル・ヒーリングの治療効果は、ヒーラーの霊的能力よりも患者サイドの条件(霊的成長度、カルマの程度、霊体と肉体の質、生活習慣、環境など)によって多くが決定されます。こうしたスピリチュアル・ヒーリングの大原則があるので、ヒーラーに過大な期待をすることは間違いなのです。

 前世のカルマによって生じている病気は、どんな治療法によっても治すことはできません。前世のカルマがあると、「霊的エネルギーの取り入れ口(魂の窓)」に制限が加えられ、これが原因になって肉体次元に病気が生じるようになるのです。

 カルマによる病気の苦しみは、それを通して前世の悪行を償うために、摂理の働きによって引き起こされる現象です。「因果律(因果応報)」という神の摂理によって展開される宇宙の営みの一つです。したがって、カルマを償った状態にならない限り、病気は治らないようになっているのです。(前世のカルマによる病気を抱えている人は想像以上に多い。)苦しみの体験を通して「霊」が浄化され、「魂の窓」が開かれる準備が完了すると、病気が治る時期を迎えるのです。そうすると、摂理の働きによってスピリチュアル・ヒーリングを受けるチャンスが訪れ、「霊的エネルギー循環システム」が一気に正常化され、病気は奇跡的に治されることになるのです。

http://spiritualhealing-volunteer.jp/healing/outcome/oc-2.html

 

  スピリチュアル・ヒーリングでは、最も優れた祈りによるヒーリング専門のヒーラーの手によっても、一般的にはせいぜい 20%の確率でしか成功しないといわれます。歴史上には、エドガ-・ケーシーなど有名なヒーラーがいますが、その中で歴史上最高のスピリチュアル・ヒーラーとして世界中の人々から尊敬を集めたのがハリー・エドワーズ(1893~1976)です。ハリー・エドワーズの治療の結果は、効果が認められたケースが80%、完治したケースが30%でした。また、鈴木重裕氏が報告されている某団体のスピリチュアル・ヒーリング役事での総合的・統一的に行われる霊性治療の改善率は約 77%であるそうです。この数字は驚異的であります。

 最後に、鈴木重裕氏は、次のようにも言われています。人間には、自己中心の「自体自覚」を引き起こす傲慢な潜在記憶に満ち溢れています。「私」は罪人であるという現実を知ることが必要であり、自分を罪人と認めたとき、自己への執着から解放されるのである、と。

 精神疾患について、どこに原因があるのかどうすれば治るのか、糸口が見つかったならば幸いです。