平和の教え「仏教」ー法句経より

紀元前259年、即位したアショーカ王は、インド東南岸のカリンガ国への征服戦争を起こして圧倒的な勝利をした。しかし、戦争の勝利の裏に悲惨な結果があった。カリンガ国の兵士15万人が捕虜になり奴隷となった。捕虜となった10万人はその場で殺された。この他にもはかりしれない悲劇があったであろう。戦争は悲劇をもたらす。アショーカ王は、深く反省して二度と戦争を起こさぬと誓いを立て、仏教に帰依した。

法句経の中で、釈尊は次のように語っている。〈実話ではない〉

「われ罵られたり、われ害されたり、われ敗れたり、われ強奪されたり」という思いをいだける人には、怨みのしずまることない。
「われ罵られたり、われ害されたり、われ敗れたり、われ強奪されたり」という思いをいだかざる人には、怨みしずまる。
およそこの世において、怨は怨によりてしずまることなし。怨をすててこそしずまるなれ。これ不変の真理なり。
すべての者は暴力におびえ、死をおそる。己の身にひきくらべ、殺すべからず、殺さしむべからず。
すべての者は暴力におびえ、命をいとしむ。己の身にひきくらべ、殺すべからず、殺さしむべからず。
生きとし生ける者は、安楽を欲す。もし暴力をもってこれに危害を加えなば、自己の安楽を求むるも、死後に安楽をえず。
生きとし生ける者、安楽を欲す。もし暴力をもってこれに危害を加えずば、自己の安泰を求めて、死後に安楽を得。(「法句経」渡辺照宏訳)

日本と韓国、日本と中国、怨みは今も続いている。なんと悲しいことか。