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(仏教・ヒンズドゥー教)金持ちがこの世で持っている財産は、神さまからの預かりもの

お釈迦様の前世の修行の様子を伝えた経典に「ジャータカ(本生譚・ほんじょうたん)」という経典があります。この経典のなかにこんな話があります。

【親子何代にもわたって貧しい人々に布施をしてきた金持ちの家がありました。あるとき、当主がケチになって、施しをやめてしまいました。すでに亡くなっていた当主の父親は、生前の慈善行為の功徳によって、天界のインドラ神(帝釈天)に生まれ変わっています。彼は地上の息子の変貌ぶりを見て驚きました。そして怒った父親は、息子が留守なのを幸いに、息子の姿に変身して国王のところへ行き、「これからは、財産すべてを投げうって、貧しい人々に布施をいたします」と申し出ました。そして、「わたしの家にある宝を好きなだけ持って行きなさい」と街中に触れ回り、しかも家の門番には「わたしにそっくりな人間がきたらたたきだすように」と命じておきました。何も知らない息子が家に帰る途中、通りすがりの人々が「どうもありがとうございました」といって、見覚えのある財宝を持って行くではありませんか。どういうことかわからず、家に帰りますと、「この偽者め!」と門番にたたき出されてしまう始末です。そこで、国王のところへ直訴に行くと、そこに自分とそっくりな父親が立っていました。

父親は、自分がインドラ神に生まれ変わったこと、息子の行いを懲らしめにきたことを告げたのです。そして、「先祖代々受け継いできた財産を、自分ひとりで使うことは許されない。人々に施しをすることが、この家を継ぐ者の義務だ」と諭しました。】

この話には、インドの人々の考え方がよく出ているのです。金持ちがこの世で持っている財産は神さまからの預かりもので、自分だけのために使ってはいけない、みんなのために使うようにと神さまが預けられたというんです。多く持っている者には、それだけの義務があるのです。現世で使わなければならないんです。そうしないと来世で地獄に落ちてしまう。こういう考え方が社会のために財を施す義務感につながり、義務を果たした者は来世でよいところに生まれ変わることができると教えたのです。来世を前提にした現世の宗教的な生き方なのです。

このような教えは、あらゆる宗教に共通したものです。