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■哲学者中村 元先生が語る仏陀の教え(1)自らを拠り所とせよ。

今回ここにブログを開設しました。最初のブログに中村 元先生が語られる仏陀の教え「自らを拠り所とせよ」をのせました。インド哲学、東洋哲学の大家で文化勲章受章者である哲学者中村 元先生は、インドの古代思想にまでさかのぼり、はじめて原始仏典を現代語に翻訳された方です。日本が世界に誇る仏教学者です。

すべての人は、宇宙とつながりがある。つながり方が銘々違う。個々の自己は微々たるものかもしれないが、偉大なものを秘めている。それを受けていることを自覚すれば、自ずから生きる道が明らかになる。本当の自己というものはどういうものか。だれでも、どこかの場所でいつかの時点で生まれてきた。両親がいて、育ててくれた人がいて、多くの人に助けてもらった。人間だけでなく山川草木もそうである。太陽の光線も受けている。宇宙にあるいかなるものも孤立したものはない。自らを依り所(灯火・灯明)とし他のものを依り所とするな。本当の人間として生きる。人としてのあるべき姿。

自灯明と呼ばれている教えです。この教えを最初にあげたのは、宗教というものが他力本願、弱い者の教え、奇妙なことへの従属という間違った認識のもとに突っ走っているが故に、本当の姿を見失っていることを危惧しているためであります。

宗教の出発点は、釈尊の上記のことばに集約することができます。人間誰でも、自らの中に森羅万象、宇宙とつながる唯一の存在としてのすばらしい自我を有しています。お釈迦様は、それを「天上天下唯我独尊」と呼ばれましたが、誰もが自分の中にかけがえのない灯明を持っています。それを発見することこそが自分の人生なのです。

残念ながら、悟りを開いた人の境地が神秘化されてしまったが故に、誰も近づくことができなくなってしまいました。まず、私たちが大切にしなければいけないことは、自らが置かれた宇宙とつながっている自分の姿を感じることです。先入観、世間の情報に惑わされないで、自分の中にある灯明を見つめることなのです。自らが素朴に思う心の姿が灯明である可能性が高いはずです。自らの悟りは、それこそ天上天下唯我独尊と呼んでもいい固有のものでしょう。