2014-07-15から1日間の記事一覧

禅の世界と禅の未来(5)現世における自他不二の世界の創造

(1)禅の国際化 戦後禅の海外布教は目覚ましく進展した。鈴木大拙氏の英文による禅の著書は、欧米の人々に多大なる影響を与えた。アップル社の故スティーブ・ジョブズも、禅に魅せられた人だった。海外布教を組織的に行っている曹洞宗の場合、ハワイ9か所…

禅の世界と禅の未来(4)覚りの世界

(1)「無」:人間の極限は神の機会である 公案でもっとも有名な「無門関」第一則「趙州無字」は、趙州和尚、僧の『狗子(しし)にも還た仏性ありや』と問うに因って、州云く、≪無≫』というものである。無に集中して次第に一心に統一され、推し進めていくと…

禅の世界と禅の未来(3)禅の世界

(1)一即多・多即一 禅を語る時、常に出てくる言葉は「一即多、多即一」である。「一即多、多即一」という事実の直観認識は、「空即是色、色即是空」につながる仏教の根本教義でもある。 「一即多、多即一」は、「一」と「多」の二概念に分析して分別智を…

禅の世界と禅の未来(2)禅の修行と方法

(1)禅の方法 禅の方法とは、心を統一して観察することである。禅定と智慧の修習、止観の修習(外界の現象や乱れた思いに心を動かさず、特定の対象に心を専一に注ぎ、止によって正しい智慧で現象を観ずること。止と観とは車の両輪である)。 仏教の覚りを…

禅の世界と禅の未来(1)禅の歴史

(1)日本における禅の影響 日本文化の中における禅の影響は、他の宗教宗派とは比べもののないくらい大きいものがある。我々が日本文化と呼んでいるもので、禅の影響を受けていないものを探す方が難しいくらいである。それほど禅は、私たち日本人の精神と生…